スイスにするか他の国にするか

<スイスの現実>

スイスというわずか九州ぐらいの広さしかない小さな国に公式的発表で世の中(地球上の)個人資産の約30%

きちんと政府に申告をしていない資産を合わせると60%以上が、現時点でヨーロッパのスイスという国に集まっています。


スイスの魅力

この地球上には色々な国がありまた様々な投資先があります。そのような中、なぜスイスの金融機関(銀行)が、中でも特に富裕層のためのプライベートバンキングの分野において投資先として優れており世界中から富をひきつけているかにつき、今一度改めて考えをまとめて見ました。その結果、スイスがなぜ国際分散投資先として優れているかにつき大きく分けると7つ程の理由が考えられると思います。

1.政治的(永世中立国)、通貨的(スイスフラン通貨の強い位置)な安定性
2.国家の位置する地域的、地勢的なもの(ヨーロッパの中心に位置)
3.この国のもつ金融産業の伝統的な歴史および習慣
4.守秘義務に関する重要性の認識と機密保持レベルの高さ
5.金融業務に従事する行員の業務レベルや教育レベルの高さ
6.監督庁(日本での金融庁)の金融機関に対する強くかつ厳格な姿勢
7. 各金融機関の置かれる環境下の競争が激しい結果、そのことがよりよいサービスの質の向上やクライアント側にとって有利な手数料の低下に 繋がっている事実。

このなかでも日本との大きな違いに、最初の政治の安定といったことがあります。
具体的な例えをあげると、政府が大きな政治的な方向転換を行う際、その是非を問うためにもかならず国民の直接投票が必要となるのです。たとえば消費税や所得税を上げるのも、法人税を減税するのも国民の直接投票の審議を得なければできないという、日本の国民の目からみればなんとも羨ましい、かつ素晴らしい国の政治システムを長年保っています。これゆえ永世中立国として戦争にも参加せず、日本のように空襲を受けることもありませんでした。
このような政治システムが日本にできたら、現在の自己の既得権や国民でなく個人の利益のことしか考えない今の腐敗しきった日本の国の政治家や官僚がはびこる事もないだろうとつくづく思います。
また、最後7では、スイスにおいては金融機関同士の競争が激しいため、現在の日本特有の顧客(預金者)不在のマネー獲得合戦をみることもありません。日本の場合低金利の中、特にこれといった預金者が喜ぶサービスも無く、銀行を利用すると手数料ばかり高く、邦銀はようやくバブルの時の不良債権を解消したと思ったらサラ金と裏でつるんで最高益をあげても、ユーザーへのサービスや利益に還元することなく、自分たちの給料ばかり上げています。(現在は巨大赤字に転落中)これはとても環境や監督の厳しいスイスでは考えられません。

いずれにせよスイスの金融と日本の金融の格差は、歴史的経緯を踏まえたその道を理解すればするほど大きいものであると痛感しております。


2: 銀行経営形態は 株式会社 vs パートナー制 ?

昨今、日本国内に置いても邦銀・外銀を問わず「プライベートバンキングサービス」なるものが流行っています。
こうしたプライベートバンキングサービスというのは、いわゆる「スイスのプライベートバンク」と比較してどのように違うのでしょう。
ここで一番最初に考えるべきは銀行の経営スタイルが利益を追求し、配当という形で株主に還元する株式会社のスタイルであるか、スイスから古く存在する無限責任のパートナー制であるか?というところから始まります。
そしてここで一番重要なキーワードは「利益の相反性」というところにあります。

「利益の相反性」
株式会社の場合、その会社の利益を上げるには利幅の高い自社組成金融商品を可能な限り多く売りさばくことであります。また可能な限りその他のノルマの課された金融商品を顧客に売りさばこうとします。それによってバンカーの給料が変わってくるのでそれは必死です。ただ、その商品が上がろうが下がろうが関係ありません。また、例えば、証券会社で買った株式が長期で値を上げても、証券会社は儲かりませんが、逆に、買った株すべてが値下がりしても、売買を繰り返していれば証券会社は手数料が入り儲かります。
ここに、株式会社のビジネススタイルの経営根底にある「顧客は損をしても金融機関は儲かる」という利益相反があるのです。一方のパートナー制のプライベートバンクの収入はクライアントの総額の資産に対するパーセントを掛けた手数料収入となります。これはクライアントが儲かれば会社も儲かり、顧客が損をすれば会社も減益となるビジネスであるがゆえ、金融機関も真剣に顧客の利益を考えるでしょう。またブテック型銀行の給与体系は歩合給でなくほとんどの場合固定給であり、ノルマに追われた営業をする必要はありません。
更に、パートナー制は銀行の損失がそのまま経営者の責任になるので堅実な経営をしており、原則貸し付けは行わないので今回金融危機の被害にはの影響を受けていないところが多いです。
さて、上記を踏まえて2つのそれぞれについて感じるメリット・デメリットを、箇条書きにして比較してみたいとおもいます。皆様のニーズにあった銀行を考える参考になればと思います。

メガバンク・大手のプライベートバンキング
サービス
【特徴】(日本国内の支店の場合)

  • CITIBANKを先駆けとして、海外の超大手商業銀行がおこなっている。
  • ここ数年で、日本の都市銀行が参入してきた。

【メリット】

  • 何といっても日本円で気軽に出し入れができる。
  • 海外送金や海外からの入金、各種売却益に関して税務署のチェックなどの余計な心配をしなくてもいい。(国内ならば税金は自動徴収してもらえる場合が多い。)
  • 担当者が日本にいるので、時差が無いし、祝祭日も共通なので、プライベートバンカーと話したいときにすぐに連絡が取れる。
  • 地元マーケットのため日本株や日本の投資商品の運用に長けている。(私を含め反対の意見もあり)
  • ステートメント(運用成績)が日本語で出てくる。
  • 金融や税金のアドバイスを気安く日本語で受けることが出来る。
  • 銀行と個人の関係はビジネスライクである。(好き好きがあると思います)

【デメリット】

  • 日本の銀行法に縛られるので現時点では「一任勘定」といったお任せ取引はできない。
  • 世界中すべての金融商品にアクセスできるわけではない。そもそも海外のファンドなどを研究して、より良いものを探そうという姿勢ではなく、自社商品販売が基本。
  • ペイオフ(貯蓄1000万円まで保護)の対象となっていないので預金保護の対象にならない。(政府による預金封鎖の対象となる?!)
  • クレディスイスやCITIBANK、過去のUBSなどは、過去に日本市場から撤退したこと実際にある。これら大手の外銀はいつ日本から強制撤退されるかわからないといったリスクがある。撤退された場合、損をするのは顧客である。
  • 大量採用・大量解雇で転勤も多く、担当も良くころころ変わるといわれている。
  • どんなハイリスク商品でもリスクはクライアントだけが負っている。また、運用に対する成功報酬制度をとっているところもあり、ホームラン狙いで失敗することも多々あるらしい。
  • 大きなオフィスにあれだけ多くの人が働いているのであるから、固定費は相当かかっているはず。多くの場合、直接的な手数料は取っていないが、前述の自社商品の中にかなりの手数料分が含まれていると言われている。
  • 銀行によっては、貸付業務を行っており、不良債権の焦げ付きリスクがある。 (サブプライム)などの例。
  • 決議に時間がかかり、個人向けの小回りの効く迅速なサービスはさほど期待できない。
  • 会社形態が株式会社の有限責任であるので、経営陣入れ替えによって方針が大転換する可能性がある。
  • 経営陣が日本の金融庁の動向にばかり注目しているので、いくら外銀といえども、その法的拘束力から、日本の国内大手銀行と取引しているのと、なんら変わりがないという意見もある。
  • 今回の金融危機で投資銀行を抱えているところは大赤字となっている場合が多い。

今度は、スイスの小規模な「プライベートバンク」の場合を見てみましょう。

スイスのブテック型プライベートバンク
【特徴】

  • 数十人二百名程度の少ない行員しかおらず、派手な広告や宣伝を一切せずに、地道に長い伝統を保ちながら経営を行なっている。
  • 資産運用サービスだけでなく、いわゆる「コンシュルジュ的」サービスも充実している。

※(注)スイスのプライベートバンクの中でも、国際的なメガバンクは存在しますが、ここで取り上げているのは、スイスプライベートバンカーズ協会に属しているような比較的小規模な銀行を取り上げています。

【メリット】

  • 小規模の組織なので、ファミリーの一員、クラブのメンバーといったようなあたたかい雰囲気がある。
  • 日本国家のカントリーリスク(国家破産や預金封鎖)からのヘッジが出来る。
  • 海外では非居住者となるので利益を確定するまで有利な税制で運用ができる。
  • 海外でしかできないグローバルな商品や特別な運用の仕組みがあり、世界中の中から優れた商品を探し出し、テーラーメードのポートフォリオ構築ができる。
  • 無限責任のパートナーシップの経営形態をとっているところが多く、 銀行の損失がそのまま経営者の責任になるので堅実な経営をしているところが多い。また、預け入れ総資産に対する手数料が銀行の収入となるので、銀行と顧客の間に利益の相反するところがなく、お互いWIN=WINの関係を築くことが出来る。(インハウスの商品を販売するノルマは行員にはない)
  • スイスの場合、有事の際には資産保護の対象となる。
  • 一任勘定にすることで、信頼できるプロにお任せの運用ができる。
  • 少人数なので経営的に小回りが利いて、決断を下すのも早い。
  • 固定客と何世代にわたる信頼関係を築くことをモットーとしている。また担当者も殆ど替わらないといわれている。
  • 経営方針で商業系のように貸付を行わないので焦げ付きの心配はない。
  • 経営者自身もクライアント・アドバイザーとして活躍している場合が多い。

【デメリット】

  • 資本を国内へ戻したときなど、各種報告義務が生じる。(自己申告)
  • 特に海外からの入金に対して税収が少なくなっている政府が、年々チェックを厳しくしているとの噂。(特にデメリットというわけではないのですが、自己申告の作業があると云う事は、何もないことに比べて煩わしいということであえてのせました。)
  • たいていの場合、資金を外貨に置き換えて運用するので、為替のリスクといった問題とは常に背中合わせとなる。(円を基準として考える場合)
  • 時差の関係があり、日本時間を基準としてみると、タイムリーな利便性はなく、緊急な場合ストレスとなりえる。
  • 銀行えらびを慎重にして、財務内容の良いところや、伝統や歴史のあるところを選ばないと、他行(大手商業系)に吸収合併されてしまうかもしれないというリスクもある。
  • 一般的には日本語は通じず、英語によるコミュニケーションになってしまう。(最近は日本語を話すバンカーも増えています)

以上、かなり私見も入っていますが、私が感じるメリットとデメリットをまとめてみました。
生活費とまでは言わないまでも、頻繁にお金を出し入れする必要がある人には、海外のプライベートバンクは全く向いてません。一方で、特に、急な円の出し入れは必要ではないが、日本とは違う仕組みの金融商品の中で資産を増やし、且つ国家のリスクをヘッジしたい人には、かなり向いていると思います。
また、資金的に余裕があるのであれば、どちらか一方というのではなく、両方の口座を持つのも良いでしょう。今後、自分がどういったことをやりたいのか、ということを熟考した上で、国内海外を問わず比較検討し、自分に合う銀行を見つけてくださればと思います。
ちなみに私たちの場合、資産保全・運用成績・国際的信頼度などを良く考えた結果、最終的に行きついたのがスイスプライベートバンク、その中でもブテック型の小規模なプライベートバンクでした。
さて、皆様はどうでしょうか?


3: 紹介業者は必要か?

まず、結論からいいますと本当にまともなPBは紹介業者とは組んでいません。
それは預金者獲得のために努力をしなくても自然に口座ホールダーなどからの口コミ等により預金者が集まってくるからです。したがって業者から紹介される銀行はいまひとつのところが多いと断言してもいいともいます。
さてここで、すこしこの業界の裏をご説明しますと(業者の悪口は言いたくはありませんので念のため)、預金者の集まらないPBは紹介業者に預金者を集めてもらうようお願いして、その預金額に応じてPBからキックバックを業者に支払う約束を行います。
業者は情報が少ないことをいいことに、ここのPBは超優良PBだといって(なにが超優良なのかよくわかりませんが・・・)紹介します。そしてその紹介料(30-100万ぐらい)を個人からとり、さらにキックバック(あるPBでは100万ぐらい)をそのPBからもらうという一粒で二度美味しい商売をしています。私たちは人さまの商売を邪魔するつもりは毛頭ありませんがまずは、(本当にその業者を信じていいものか・・という)皆さまの直観力を信じることが一番大切と思います。
どのようにして紹介業者や法律・会計事務所を信用すればいいのか、というところは私としても見極めがつかず、できることであれば、自分自身で口座開設できたほうが一番すっきりすると思っています。
さらに紹介業者が投資顧問業を兼ねている場合、きまってPBと顧客と業者の三角関係であるアドバイザー契約を結ぶことを強く勧めてきます。これはスイスの銀行を資産保全の「器」または「金庫」のみとし、自らを助言者と称するアドバイザーがわざわざ中間に入り余計な手数料をクライアントから搾取しようとする考え方です。
既にPB側には優秀なポートフォリオ・マネージャーが存在するのでありますから、なぜあえて外部のいついなくなるかわからない人間に追加のフィーを払う必要があるか、今後大いに検討する余地があるかと思います。
是非自らの力で考え、トライしてみてくださいませ!

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